「住宅ローン減税」とは
10年以上の住宅ローンを組んで、住宅を購入される方の税負担を軽減する制度で、年度末時点のローン残高に応じて、一律0.7%所得税から、場合によっては住民税からもを控除することができます。
税金がたくさん戻ってくるお得な制度のように思いがちですが、ご自身が納めた所得税や住民税以上のお金が戻ってくることはありません。控除額は、借入金や税金納付額のよって異なりますので、控除額を計算するにあたって、自身の所得税額や住民税額を知っておく必要があります。
モデルケース
条件や金額は世帯ごとに変わってきますので、あくまでも参考例としてご確認ください。
新築住宅3,000万円で購入。家族3人「ゆうたさん(35歳)、妻(扶養)、子供1人(3歳)」例
ゆうたさんの年収 | 500万円 |
所得税額 | 約10万円 |
住民税額 | 約20万円 |
住宅ローンの借入額 | 3,000万円(頭金・ボーナス払いなし) |
年度末時点のローン残高 | 2,900万円 |
社会保険料控除:70万円として試算。
ゆうたさんの場合、年度末時点のローン残高が2,900万円のため、「2,900万×0.7%」で控除額の上限額は「20万3,000円」が適用されます。
ゆうたさんの所得税額は約10万円なので、全額が控除されます。控除しきれなかった10万3000円については、住民税から控除されます。
住民税からの控除額は、「所得税の課税総所得金額等の合計額の5%」の額または「最高9万7,500円」のどちらか少ない方の金額までとなります。
ゆうたさんの場合、所得税の課税総所得金額は188万円になるので、「188万円×5%=9万4,000円」となり、住民税からの控除額は最高額の「9万4,000円」が適用となります。
最終的にゆうたさんの場合…
所得税からの控除額「約10万円」と、住民税からの控除額「9万4,000円」の合計「19万4,000円」が控除額となりますが、最大額19万4,000円を控除することができます。
2019年の消費税増税に伴い、控除期間を令和3年まで特例措置として10年から13年に延長となりました。
令和3年で住宅ローン減税制度が終わってしまうのではないかと心配される声もありましたが、令和4年度税制改正により、住宅ローン減税の入居期限が令和4年度から7年度まで、4年間延長されることになり、同時に制度内容の見直しが行われ、控除率が1%から0.7%と縮小されることとなりました。
新築住宅(非省エネ基準) | 令和3年 | 特例措置(令和3年まで) | 令和4~5年 |
---|---|---|---|
控除率 | 1.0% | 1.0% | 0.7% |
控除期間 | 10年 | +3年 | 13年 |
控除対象借入限度額 | 4,000万 | 4,000万 | 3,000万 |
年間控除額 | 最大:40万円 借入金年末残高(上限4,000万円)×1% | ※1 | 最大:21万円 借入金年末残高(上限3,000万円)×0.7% |
最大控除額 | 400万 | +80万 | 273万円 |
入居期日 | 令和3年12月31日 | 令和4年12月31日 | 令和5年12月31日 |
税制改正により控除期間は変わっていないが、控除率は0.7%へ縮小されたんですね。
控除を受けるための条件
所得条件 | 2.000万円(改正前:3,000万) |
床面積 | 50㎡以上で床面積の2分の1以上が自身の居住用であること ※1 |
ローン借入金期間 | 10年以上 |
令和6年1月1日以降(2024年)に住宅購入を検討中の方へ
令和6年1月1日以後に建築確認を受ける住宅の用に供する家屋(登記簿上の建築日付が同年6月30 日以前のものを除く。)で、一定の省エネ基準を満たさない新築住宅または建築後未使用住宅は、住宅ローン減税は適用されません。環境に優しく、住む人の健康面を考えた省エネ基準の適合義務化が予定されている為、適用条件が厳しくなります。
しかし、多くの住宅メーカーが省エネ基準の義務化を見込んで準備を進めていますので、心配はなくなると思います。
借入限度額 | 2022~23年(令和4.5年) | 2024~25年(令和6.7年) |
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長期優良住宅 低炭素住宅 | 5,000万円 【最大控除額:455万円】 | 4,500万円 【最大控除額:409,5万円】 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 【最大控除額:409,5万円】 | 3,500万円 【最大控除額:318,5万円】 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 【最大控除額:364万円】 | 3,000万円 【最大控除額:273万円】 |
その他の住宅 | 3,000万円 【最大控除額:273万円】 | 0円 |
控除期間 | 13年 | 13年 |
所得条件 | 2,000万円 | 2,000万円 |
床面積要件 | 50㎡ ※1 | 50㎡ ※1 |
住宅ローン控除を受けるためには確定申告が必要
居住の用に供した日または居住を開始した日の、翌年2月16日~3月15日までに「確定申告」をする必要があります。1年目と2年目以降で手続きが異なりますので、それぞれ説明致します。
会社員の場合
1年目
申告方法
お住まいの地域を管轄する「税務署」で申告手続きをします。郵送やインターネットで手続き可能です。
(1) 税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に持参か郵送
(2) 税務署に行き、税務署の確定申告書作成コーナーでe-taxを使用して確定申告書を作成・申告
(3) 国税庁のサイトから確定申告書を入手し、記載して税務署に郵送
(4) 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署に郵送
(5) 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、インターネット(e-tax)で申告
(5)の手続きが簡単でオススメです!指示に従い入力することで申告書の作成・送信までの手続きが完了します。住宅ローン控除も「(特定増改築等) 住宅借入金等特別控除」から入力すれば良く、自宅にいながら確定申告が完了します。
必要書類 | 入手先 |
---|---|
①確定申告書 | 国税庁のホームページ |
②住宅借入金等特別控除の計算明細書 | 税務署の窓口や国税庁のホームページからダウンロード |
③住民票の写し | 市役所(2年目から不要) マイナンバーカードを持っているのであればコンビニエンスストア |
④売買契約書や工事請負契約書(コピー) | 不動産会社や建築会社契約した際の書類 (認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合、認定通知書の写し) |
⑤土地・建物の登記事項証明書 | 法務局で手続き(2年目からは不要) |
⑥借入金年度末残高証明書 | 毎年金融機関から送付 |
⑦昨年分の源泉徴収票 | 勤務先 |
2年目以降
翌年以降は①借入金年末残高証明書②住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署から2年目以降に届く)を職場に提出し、年末調整で控除が受けられます。
個人事業主の場合
1年目
会社員の場合と同様です。
2年目以降
税務署から2年目以降の「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」が、送付されます。その計算明細書と「借入金年末残高等証明書」の2種類を確定申告で添付します。
今後、省エネ基準の適合義務化が予定されています。これからの住宅選びは、環境に優しく性能が確保された住宅を選びつつ、お得な制度を活用していくことをオススメします!
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